10月8日  デリーで小手調べ

インドで迎える初めての朝が明ける。なんとなく不安で熟睡できなかった。

インドの朝は早い、と聞いていたので6時半に起床。とりあえず朝ゴハンを食べねば。

フロントで「レストランはどこ?」と聞くと「10Fや。」との答え。でもエレベーターのボタンはどう見ても3Fまでしかない。とりあえず最上階へ。

うろうろしているとおっちゃんが一人出てきて「朝メシやったらこっちや。」と手招き。

案内された客室となんら変わりない扉を覗くと・・・布団がしいてある!

いやぁぁ!」と思って凍りつく私達の前で、おっちゃんはおもむろにその布団を文字通りの真っ二つにたたんで、入れ入れと言う。

よく見るとその奥にはテーブルが並んでいた。

テーブルには「あ、落して踏んでしもた。ま、エエか。」という扱いを受けたとしか思えない汚れ方をしたランチョンマットが。

その上にうやうやしく置かれたナイフ&フォーク。う〜ん・・・。

トーストとオムレツとコーヒーとジュースでええか?」おっちゃんは聞く。

「イヤだ、と言っても他にあるのか?」と思いつつYESと答え、待つこと約30分。

インドであせりは禁物なのである。しかしサンドイッチサイズのぱりぱりトースト&すかすかになるまで焼いたオムレツは、予想以上においしかった。

(てんちょは生&半熟タマゴが苦手)

   
朝ゴハン                  ホテルの部屋

お腹がふくれたら気合を入れて街へGO!今日の目的はショッピング。

お土産ではなく、これからの10日間を過ごす服やサンダルを調達するのだ。しかし時間が早すぎた。近所の店は閉まっている。

とりあえず歩いていると、早速オートリクシャの運ちゃんがたかってくる。

コンノートプレイス(デリーの中心地)まで10Rsやで。」(現在1ルピー=約2.6円)

道がよく分らないので乗ることに。まだ空いている朝の道をかっ飛ばすと、扉などないリクシャには風がぐお〜っと吹き込む。

道路はボコボコなのでお尻もポコポコ浮いたりなんかする。

「今日は日曜日でショッピングセンターは休みね。だから旅行代理店に行く良いね。」

いつの間にかウサン臭い代理店のカウンターに座らされていた。まぁ店も閉まってるし・・・。

アナタ達インドは初めてですか?日程は?ははぁ、そのプランはよくないですね。鉄道の切符はもう取ってしまったんですか。

大丈夫、私がキャンセルしてもっと良い切符を予約してあげます。」

う〜ん、ガイドブックに載っていたインチキ代理店の手口そのまま(笑)。

しかしてんちょは自分が決めたプランであるだけに、ちょっと不安にもなっていた。

友人Sが止めてくれなければ、ムダに高い切符を買わされていたかもしれない。危ない危ない。

こんなのがソコら中にうろうろしてる

しつこくチケット交換をせまってくるのをどうにか振り切り、少し歩いてみる事に。

スグ気付いたのだが、ガイドブックの地図は実際と全然違う。地図に載ってない道もモリモリあるので、何が何やら分らない。

しかも何人かに「○○はどっち?」と聞くと皆違う答えを返してくれる。暑さと不安に負けた私達は、またもやオートリクシャの餌食に。

勝手に政府系と思しきお土産物屋へ連れて行かれる。

今日はホリデー特別ディスカウントね。」

この時点ではまだインドの物価を把握しておらず、日本の金銭感覚を引きずっていた二人。紅茶やカレー粉を買ったのだが、後で思うとかなりボラれていた(怒)。

てんちょはサリーも購入。「この刺繍、てぢゅくりね。」

丸めたらカバンに詰められそうに小柄なオバチャンが、満面の笑みで”てぢゅくり”と言うのがカワイイ。

買い物を終え、店の外で待っていたリクシャの運ちゃんボビーに、ホテルに帰りたいと告げる。

「OKね。」と言った彼が向かった所は違う代理店。

リクシャの運チャン達は、自分が連れていったお客が買い物したりチケットの手配をしたりするとマージンをもらえるので、なんだかんだ言いながら引きずり回すのだ。

仕方がないのでもう1バトル。まだインドの暑さと人々のパワーに免疫ができていなかった私達は、この時点で本当にフラフラだった。

ただでさえ、インド訛りの英語を理解するのに疲れるのに・・・。

しかしボビーは実はイイ奴だった。ホテルの場所をちゃんと覚えていなかった私達のために、そこら中の人達に聞きながら必死で探し当ててくれたのだ。

しかも最初の10Rsから追加無しで。別れ際に気が付いたのだが、どうやら軽く惚れられていたらしい。

名残惜しそうに彼は去って行った・・・ありがとうボビー。

  
ヒンドゥー教の寺院は極彩色で美しい

やっと誰からも解放されると空腹に気付く。いよいよインドカレーにトライする時が来た。

ホテルを出て一番に目についた店へ。バターナンにマトンカレー、ラッシーを注文。焼きたてのナンのおいしかった事♪

カレーもかなり辛かったがうまいっ!逆にラッシーやチャイなど、甘い物はとことん甘い。でもインドの暑さの中では、その極端な味がおいしいのだ。

食べていると店のおっちゃんが「うまいか?もっといるか?」と聞きに来る。

「めっちゃおいしいわ〜。ナンもう一枚ね。」と素直に答えると、おっちゃんは最高の笑顔をした。

   絶品インドカレー。外人にはちゃんとスプーンを付けてくれる。

エネルギー充填の後は、本来の目的を果たしに近所のバザールへ。

朝、店が開く前はあんなに静かだった場所が人、人、人・・・。ウワサに聞いていたバクシーシさん(物乞い)達も

踏まれそうになりながらがんばっている。インドの庶民が利用する場所なので、値段も明記してありボラれる心配もない。

¥800くらいのパンジャビドレスと¥210くらいのスカート、¥400くらいのクルタなどを買う。

暑さをしのぐには現地の服が一番のはず。しかし、同じ物を日本で買うとウン千円もすることを思うとアホらしいなぁ・・・。

活動初日の目的はこうして無事達成された。中心のショッピングセンターは閉まっていたけど、最終日にまたデリーに戻ってくるからいいのだ。

初めて浴びたインドの暑さ、異様な熱気と騒がしさ、インド人の押しの強さは新鮮で、見るもの全てが面白いのだが

インドと比べると無菌室のような日本から来ると、かなり消耗するものがある。

満足し切って疲れきった2人は、幼稚園児のように夜8:00に眠りに就いた。明日は早起きして移動だぁ〜・・・。

つづく