讃岐うどんよ、こんにちは。



 一時異常なほどの盛り上がりを見せた讃岐うどんブーム。
そのきっかけを作ったと言われるのが、香川のうどん好きが作った”麺通団”なるグループの著書
”恐るべき讃岐うどん”なのだが、私の友人夫婦はいち早くこの本に目を付けていたらしい。
何せこの本、面白いのだ。彼等が行った香川県内のうどん屋のレポートがメインなのだが、
表現がいちいち面白い。もちろん、味やお店のシチュエーションの解説もばっちりである。
これを読んで香川特有のうどん文化に興味を持った友人夫婦は、高松への日帰り旅に私を誘ってくれた。
ま、本当の目的はうどんでは無く、彼女と私の共通の趣味だったのだけど。

瀬戸大橋&明石海峡大橋ができてから、四国はびっくりするくらい近くなった。
高松までは車でおよそ4時間。瀬戸内海を渡ると中2の時以来の四国上陸である。
田んぼの後ろに低くて丸い山が並ぶ、何だか日本昔話その物のような景色の中を車は走り、
田舎道で迷いながらもお目当ての”赤坂製麺所”へ到着。
ここは名前の通り製麺所なのだが、その場で食べる事もできる。香川のうどん屋にはこういう
製麺所タイプの他、首都圏や近畿でもお馴染みになったセルフ店といわゆる普通のうどん屋の3種類がある。
特異なシチュエーションで全国的に話題になったのは製麺所タイプの店で、ここで私達も
カルチャーショックの洗礼を受けた。
まず看板に引かれて入っていったのは一見普通の民家。勝手口のような小さい入り口を入ると、
中でうどんを作っている。さすが製麺所。壁には”生醤油 出汁”という張り紙だけ。
どうすればええんやろ・・・と思っていると『一玉?暖かいの?冷たいの?出汁か醤油か選んでね』
と店のおばちゃん。よく分からないまま冷たいのを生醤油で一玉頼むと、
ちゃちゃっと茹でて水で締めたつややかな麺がどんぶりに入って出てきた。
『醤油はそれね』ふと横を見ると醤油差しの他、長い薬味ねぎとキッチンバサミが。そっか、自分で切るのね。
店内に食べるスペースなど無いので、どんぶりと箸を持って裏庭のような店先へ。スゴイな〜と言いつつ
立ったままうどんをすすると・・・うおお!何これっ!!
美味しいんである。コシがあるのを通り越して固いくらいの歯ごたえ。スムーズに喉を通って行く心地良さ。
具も無く、茹で麺に醤油をかけただけの質素なうどんが予想を裏切って美味しいのである。
これで100円は安い。人の家の軒先で畑を見ながら食べる非日常さが、余計美味しく感じさせるのだろうか。
つるつるっと入ってしまうと、出汁の味が気になってきた(笑)。出てきたのは関西の物と違い、
どんぶりの底に溜まる程度の少量の出汁をかけたうどん。
いりこの味がしっかり出ていて薄味なのに美味っ!いりこ出汁自体あまり口にする事が無いので、
とても新鮮だった。新鮮なんだけど懐かしいような、そんな味。
麺そのものが美味しく無いと、こういう食べ方はできないんだろうなぁ。
もっといろんなお店で食べたい!でも日曜でほとんどの店は閉まっている上、あまり食べるとその後の活動に
支障が出るのが分かっていたから今日はここ1件。しかしこの初体験は強く印象付けられた。
『いや〜、また来よう。』その言葉は1年後、実現してしまうのである。

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