讃岐うどん記

2004年春、青春18きっぷの季節にいよいよ友人と2人で高松に乗りこんだ。
連れは何度目かのうどん旅行なので、店のチョイスは安心して任せてある。
気合を入れて朝ゴハンを抜き、空きっ腹を抱えてJR高松駅に到着したのが午後1時前。
駅ホームの店もなかなか美味しいらしい・・・という噂もあったが、胃袋には限界がある。
ここは寄り道をせず最初の目的店へ。コトデンに揺られ、高松の繁華街瓦町に到着。
オリーブホール横の細い道を入っていくと、前から行きたかった”うどん棒”発見。
ここは席に着いて注文すると持ってきてくれるという、ふつ〜のタイプのお店。
そういえば春はイイダコの季節。期間限定モノに弱い私は迷わず”タコ天うどん(冷たいの)”
を注文。久々の本場で食べる讃岐うどん。ああ、楽しみ。
出てきたうどんの上には可愛いタコが5匹くらい居ただろうか。まずその大盤振る舞いに感激。
しかしまずは麺を味わってみないと。しっかり氷で締められた細めの麺は・・・おお!伸びるぞ!
正に”ゴム系”という言葉がぴったり。でも柔らかいのではなく、コシはしっかり、噛み切るのは
一苦労。それでいて讃岐うどんらしく、するすると気持ち良く喉を通っていく。
出汁はクセが無いタイプ。関西でも慣れ親しんだ感じの味なので、讃岐うどん初心者にもオススメ。
そしてタコ天がイイ!軽くてサックサクの衣の食感が何とも言えずおいしい。
しかも揚げたて!これは一般店ならではの喜びだろう。思い出すとまた食べたくなる・・・。
つるつると入るのでついお代わりしたくなるのだが、少し時間が経つと満服感がやってきた。
天ぷらまで入ってるんだから当然か。夜まで一遊びして消化したあと、再び徘徊する事に。

夜のはしごうどん、1件目は讃岐屋。夜のうどん屋は飲み屋街にあった。
おでんの鍋なんかが目に入ると浮気してしまいそうになるが、やっぱりうどんを食べるべし。
夜はまだ少し寒かったので、暖かい梅うどんを注文した。ちなみにココも一般店。
湯気を上げるどんぶりには出汁もたっぷり、見た目は慣れ親しんだ普通のうどん。しかしそこに
入っているのは讃岐うどん。冷たいもの程では無いとはいえ、そのコシはあつあつ出汁の中でも
ぶりぶりと歯に響く。いりこ出汁のあっさり味に、大きな梅干の酸味がまた良く合う。
友人が頼んだこの店の一押し”なめこおろし(なめころし)うどん”も、やはり具と出汁、麺の
ハーモニーが絶品だったそう。生醤油、ぶっかけ以外の讃岐うどんも良いものだ。塩控えめで
身体に優しいうどんを消化する間、焼酎バーでまったりしてみる。

夜も深けてきて人通りも少なくなってきたが、その店は混んでいた。カレーうどんで有名な”鶴丸”。
シメのラーメンの代わりにこちらの人はカレーうどんを食べると思われる。私達と入れ替わりに、
楽しそうに泥酔したスーツ姿の若者が担がれて行った。
おお、ここはカウンター席だ。大鍋の中で大量のうどんが茹でられているのが見えて、なかなか楽しい。
その横では大量のカレー出汁がふつふつと。え〜香り〜♪
茹でたてのつややかなうどんに、その出汁をとろり。やけどしそうに熱いけど、美味しいぞ〜!!
やっぱり失われないコシ。というかこのぶりぶりうどんはカレーうどんに合うのか?と思って
いたのだが合う!すごく合う!そしていりこ出汁とカレーも何故か合う。生煮えの玉ねぎも何か合う。
豚肉の数は当りハズレがあるようだが、お酒の後でもさらっと入るカレーうどん、大したもんです。

翌日、ホテルをチェックアウトしたら、もちろんうどん屋で朝ごはん。JR栗林公園近くの”松家”へ。
開店して間も無いのに、店先には数人並んでいる。ここは製麺所で、どうやら近所の人が玉を買いに
来ているらしい。いつもこんな美味しいうどんを、家でも食べれるなんて羨ましい限り。
レジの横には美味しそうな各種天ぷらの山、どれも大きくて1個¥100〜とリーズナブル。
1件でも多くの店を周る為、余計な物は食べない!と決めていたのだが、どんぶりを受け取ったら
無意識にその上にちくわ天を乗せていた。適当に置かれた椅子とテーブルの席に付き、傍のタンクから
オーソドックスないりこ出汁を注ぐ。ずるっとすすったその麺は、固い!グミのような非常〜に強いコシ。
『う〜ん、男系』アゴがだるくなりそうな麺を噛締めると、小麦の味が出てきてまた美味しい。
同じ讃岐うどんと言えど、店によってこんなに麺に個性があるんだなぁ〜。
1本丸々揚げたちくわは、うどん棒のと違って”おウチの天ぷら”という感じ。そのやや重めの衣が
出汁を吸ってボテボテになったのがまた良い。なんだかんだで朝からガッツリ食べた。しめて¥220也。

お腹一杯〜とは言いながらも次の目的地へ向けて電車は走る。目指すは”日の出製麺所”
ここは11時半からたった1時間しかやっていないので、うどん通にとって憧れの店なんだそう。
心は焦るのに駅からは結構遠い。おまけに軽く迷って文房具屋のおばあちゃんに道を聞く。
『1時間しかやってへんから急ぎや〜』『はいっ、がんばります〜』そんなやりとりを交わしつつ
たどり着いた店の前には長い列。ツアーで来たと思しきオバちゃん達の姿も見える。
観光客が押し寄せる店になると店員さんも慣れたもので、並んでいる間に店のシステムを説明してくれる。
回転が良いので以外に早く店内に案内された。『冷たいの一玉』
ふと奥の部屋を見ると、ハイテクそうな機械が次々と麺を茹でて水で締めている。こんな秘密兵器を
導入している店もあるんだ〜。だからこそこれだけの人数をさばけるのだろう。
間もなく運ばれて来たどんぶりの中にはうどんだけが入っていて、後はテーブルに置かれた出汁やら生醤油やら
薬味の中から、好きな物をトッピングするのである。無造作に置かれたちくわ天と卵はお会計時に自己申告。
製麺所系ではお馴染みのシステムだ。ここはトッピングの種類が豊富で、ちょっと特した気分。
ハイテクマシンでよ〜く冷やされた麺は、”松家”のような固いほどのコシ。だけどそれでいてしなやか。
噛むとにじみ出て来る小麦の美味さは、これまでに味わった事が無い美味しさだった。甘いというか、
『これが小麦じゃ』と言わんばかりの生き生きとした味。讃岐うどんは噛まずに飲む、というデマも流れたが、
喉ごしだけじゃなく噛締めて味わう事も是非オススメする。天カスもあれば乗せた方が良い。
御代は、天ぷら等を取っていないので¥100也。.

男系の固いうどんをよく噛んで食べたせいか、この時点でかなり満腹。でも出来ればあと2件は行きたい。
再びJRに乗って、今度は坂出に移動。こまめに動けるのは18きっぷならでは。次に目指すのは”おか泉”。
駅を出ると、まだ新しいうどん屋MAPがお出迎え。ブームを逃すまいとする心意気が見える。
国道沿いをぷらぷらと歩いていく。それにしても、高松は何処に行っても人が少ない。
しかし目指す”おか泉”に着いたらスゴイ行列〜!お昼時とは言え、さすが超有名店。駐車場には観光バスも。
自分達も含め、その他多くのお客が他府県人らしい感じだった。並んでいる間にメニューが回ってくる。
今回は初っ端からいりこ出汁の魅力にズッぱまりだったけど、ここらで生醤油を食べてみよう。
ブームのおかげで”うどん御殿”を建てた店は多いと聞くが、ココもその一つ。新しく建てて移転してきたという
店舗は広々としてとてもキレイ。レジで半生麺や生醤油なんかも売っている。
運ばれてきたうどんも、トレーにどんぶり、生醤油、薬味(ねぎ、大根おろし,すだち・・・多分)がきれいに
並んでいる。普通の店としては当たり前なんだけど、製麺所から流れてきた身としては妙に新鮮。
どんぶりに全てを投入してガッと混ぜ、一口すする。何と言うか・・・バランスの取れた麺だと思った。
コシは言うまでも無く強い。でも固くは無い。太さは、どちらかと言うと細めだろうか。ムチムチした麺の
喉ごしの良さは最高。そんなに色々食べ歩いたわけではないが、讃岐うどんの本質をしっかり表現しながらも
初心者にも受け入れ易い麺だと思った。多彩な薬味も味を引き立てる。
欲を言えば茹であがった麺をあと30秒洗って締めて欲しかったが、忙しい時間だったからから仕方ない。
比較的空いている時間にもう一度来たいと思った。あの喉ごしは忘れない。

イメージとしては、お腹の中でうどんがトグロを巻いている感じ。胃がはち切れんばかりだったので
今回の食べ歩きはこれで終了。でも数は少なかったとはいえ、行った店全てが名店だったのでかなり満足。
いろんなタイプのうどんを食べる事が出来、ますます讃岐うどんにハマっていきそうな予感がした。
快晴の中を、鳴戸の渦潮を見ながら過ごした帰路は気持ち良かった。また来るぞ〜!


                                     大阪も名古屋もすごいんです